パブロ・ピカソ 《母性》 アクアチント 1930年 版上サイン ルーヴル美術館カルコグラフィ

550,000円(税50,000円)
定価:550,000円(税50,000円)

DETAIL

パブロ・ピカソ
《母性》


アクアチント
1930年
65×42.5cm
ジャック・ヴィヨン版
ルーヴル美術館カルコグラフィ


額・黄袋・箱付き

深い青に覆われた静寂の中で、母は子を抱きしめ、世界から切り離されたような安らぎを湛えています。ピカソの「青の時代」(1901年〜1905年)に繰り返し描かれた母と子のモチーフは、孤独と哀しみの中に差し込むかすかな光の象徴ともいえます。

この時期のピカソは、親友カルロス・カサヘマスの死という深い喪失に直面し、社会的にも経済的にも不安定な状況にありました。冷たく閉ざされたパリの冬、カフェに集う貧しい人々、孤児や母子へのまなざし――そうした体験が彼の画布に影を落とし、静かで切実な青の世界を生み出したのです。

《母性》に描かれた青いクロークは、悲嘆を包み込む衣であると同時に、希望をも象徴しています。それは聖母マリア像に重ねられた普遍的な慈愛の象徴であり、人間が本能的に求める「守られる安心」を体現しています。母の腕に抱かれる子の安らかな眠りは、混沌とした時代の中で人間が希求した心の避難所を示唆しているのです。

本作は、画家としても高名なジャック・ヴィヨンがアクアチント技法を駆使して原画の精神性を巧みに写し取り、その原版はルーヴル美術館カルコグラフィに永久保存されています。「青の時代」をテーマにした版画の中でも、芸術的完成度と希少価値の両面で極めて高く評価される名品です。

【ルーヴル美術館カルコグラフィ】について


ルーヴル美術館のグラフィックアート部門にあるカルコグラフィ工房では、今も伝統的な技術を継承し貴重な原版のコレクションから版画作品が生み出されています。ギリシア語で「銅に書いたもの」を意味する「カルコグラフィ(chalcographie)」は、フランスにおいて銅版彫刻で刷られた版画、またその原版を保存する場所を表しますが、ルーヴル美術館においては、同館グラフィックアート部門カルコグラフィ室を指すと同時にその工房で刷られた版画を意味します。

ルーヴル美術館の原版コレクションは、17世紀に絶対王政を極めたルイ14世がフランス王家の権勢を国内外に知らしめるため、壮麗なイベントや王宮、芸術作品などを銅版画によって記録することを奨励したことに始まります。続く歴代の王たちの下、原版コレクションはさらに豊かなものになり、革命を経た1797年に王家所有の3000枚のコレクションを引継ぎカルコグラフィ室が設立されました。

原版のコレクションはブルボン朝の歴代国王や皇帝ナポレオンゆかりのもの、そして現代作家の作品に至るまで多岐にわたります。歴史・文化の伝播や芸術の普及、そして人々の教育と、数百年にわたってさまざまな目的で用いられてきたカルコグラフィは、原版が永久保存され現代もなお私たちの目を楽しませ続けています。

パブロ・ピカソ Pablo PICASSO (1881-1973)


スペインのマラガに生まれる。絵画だけでなく彫刻や版画、陶芸、舞台芸術、詩人としてなど幅広く活動。「キュビスム」という新しい美術表現を創造し、20世紀最大の画家と評される。代表作は《アヴィニョンの娘たち》《ゲルニカ》《泣く女》など。その生涯で制作した作品は13,500点の油絵と素描、10万点の版画、34,000点の挿絵、300点の彫刻や陶器など、その数は約15万点。世界で最も多作な美術家であるとギネスブックに認定されている。

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