ジャン=フランソワ・ミレー 《羊飼いの少女》 エッチング 1862年 31.7×23.6cm 版上サイン

880,000円(税80,000円)

DETAIL

ジャン=フランソワ・ミレー
《羊飼いの少女》


エッチング
1862年
31.7×23.6cm
版上サイン


額・黄袋・箱付き

本作品《羊飼いの少女》は、ジャン=フランソワ・ミレーが1862年に制作したオリジナルエッチング作品で、農村の静かな時間を切り取った一点です。草原で羊の群れを見守る少女の姿は、素朴でありながら、どこか物語的な深みをたたえています。

牧歌的情景に宿るまなざし


少女は手に杖を持ち、羊たちのそばで静かに立っています。その小さな身体と、遠くを見つめるような眼差しからは、幼さと大人びた落ち着きが同居した複雑な感情が感じられます。
ミレーは、少女の愛らしさを描くだけではなく、自然の中で果たす役割や生きる力に注目し、農村で暮らす人々の精神的な強さを表現しています。

線描が紡ぐ穏やかな空気


エッチング特有の細やかな線が、少女の柔らかな衣服のしわや羊の毛並み、そして牧草地の広がりを繊細に描き出しています。背景の空にはかすかな雲がたなびき、風の流れまでも感じさせる柔らかな筆致です。油彩画のような重厚さではなく、版画ならではの透明感と軽やかさが、作品に静謐な雰囲気を与えています。

日常の中の永遠性


ミレーは農村で生きる人々を単なる労働者としてではなく、自然と共に生きる存在として描きました。本作では、羊を見守る少女の姿を通して、人と自然のつながりや、日常の中に潜む普遍的な価値を表現しています。《羊飼いの少女》は、平凡な一瞬の中にある美しさと、生命の尊さをそっと語りかける作品です。

ミレーと版画作品


ミレーといえば農民を主題にした《種まく人》《落穂拾い》《晩鐘》などの名画が有名ですが同テーマの作品を版画でも残しています。1847年頃、ミレーは版画家として有名であったシャルル=エミール・ジャックと出会いました。「自分の心にある絵をすべて描き尽くすまで、私は長生きできまい。だから自分が言いたいことを世の中に伝えるためには、油絵とは別のもっと簡便な表現方法をみつけねばならない。」当時油絵以外の絵画技法を探していたミレーは、この出会いを機に版画に興味を持ち制作を始めました。ミレーは生涯においてエッチングをはじめ、リトグラフ、ガラス版画、木版画などの版画作品を残しています。大量制作が目的ではなく、新しいアイディアの記録や親しい友人に配るために摺られたため、版画作品の枚数はごく少数だといわれています。

「本当に感動したものを描くのに、わずかな表現で満足できるはずがない。」と語っているように、ひとつの主題を油彩、パステル、デッサン、版画など様々なジャンルで何度も繰り返し制作しました。制作の順序は版画が先の場合と油絵が先の場合とまちまちで、ミレーは油彩と同様に版画を重要な表現方法のひとつとみなしていました。的確な線のみで明暗を簡潔な構図に表し、卓越した素描力を示しつつ、油彩とは一線を画す独自の芸術的魅力を放っています。

ジャン=フランソワ・ミレー Jean-François MILLET (1814-1875)


フランスのノルマンディに生まれる。農民としての生活体験を基盤に、農村の人々の日常と労働を荘厳に描いた。代表作《落穂拾い》《晩鐘》《種をまく人》では、大地と共に生きる農民の姿を力強い構図と重厚な筆致で表現し、人間の尊厳と生命力を讃えている。その作品は、後の印象派や写実主義にも大きな影響を与えた。自然と人間の営みを敬虔なまなざしで捉えたミレーは、農民画家としてではなく、人間存在の普遍的価値を描いた芸術家である。バルビゾン派のプレイヤード(七星)の一人に数えられ、同派を代表する存在である。

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