ジャン=フランソワ・ミレー 《ミルク粥》 エッチング 1861年 15.8×13cm 版上サイン

440,000円(税40,000円)

DETAIL

ジャン=フランソワ・ミレー
《ミルク粥》


エッチング
1861年
15.8×13cm
版上サイン


額・黄袋・箱付き

本作品《ミルク粥》は、ジャン=フランソワ・ミレーが1861年に制作したエッチング作品で、農村の家庭生活を主題とした小品です。母親が幼い子どもを抱きかかえ、スプーンで口にミルク粥を運ぶ様子を描き、日常の一場面を静かに切り取っています。

主題と描写


画面中央に座る母親は、子どもを膝に抱きながら体をやや前傾させ、右手でスプーンを持ち上げています。子どもは布にくるまれたまま、母親の腕の中で安らかな表情を見せています。
ここでミレーは、農作業や収穫といった大きな労働の場面ではなく、家庭という私的空間に視線を向け、農村で生きる人々の日常をより親密な視点で捉えています。

エッチング技法の特徴


本作では、ミレー特有の繊細な線描が際立っています。細かいクロスハッチングによる陰影表現は、母子を包む柔らかな光と影を巧みに描き出し、室内の落ち着いた空気感を生んでいます。衣服の質感や背景の籠の描写は非常に緻密で、人物像の立体感を際立たせています。油彩画では得られない透明感や軽やかさが、版画ならではの魅力となっています。

ミレー作品の中での意義


ミレーは《落穂拾い》《晩鐘》などで農民の労働を象徴的に描きましたが、この《ミルク粥》では農村の生活をより親密な視点で表現しています。労働と家庭という二つの側面を往復することで、農村で暮らす人々のリアルな姿を多角的に捉えようとした、彼の芸術的探求が伺えます。この小品は、ミレーの幅広い関心と、農村の生活を多面的に描き出そうとする姿勢を示す重要な一作です。

ミレーと版画作品


ミレーといえば農民を主題にした《種まく人》《落穂拾い》《晩鐘》などの名画が有名ですが同テーマの作品を版画でも残しています。1847年頃、ミレーは版画家として有名であったシャルル=エミール・ジャックと出会いました。「自分の心にある絵をすべて描き尽くすまで、私は長生きできまい。だから自分が言いたいことを世の中に伝えるためには、油絵とは別のもっと簡便な表現方法をみつけねばならない。」当時油絵以外の絵画技法を探していたミレーは、この出会いを機に版画に興味を持ち制作を始めました。ミレーは生涯においてエッチングをはじめ、リトグラフ、ガラス版画、木版画などの版画作品を残しています。大量制作が目的ではなく、新しいアイディアの記録や親しい友人に配るために摺られたため、版画作品の枚数はごく少数だといわれています。

「本当に感動したものを描くのに、わずかな表現で満足できるはずがない。」と語っているように、ひとつの主題を油彩、パステル、デッサン、版画など様々なジャンルで何度も繰り返し制作しました。制作の順序は版画が先の場合と油絵が先の場合とまちまちで、ミレーは油彩と同様に版画を重要な表現方法のひとつとみなしていました。的確な線のみで明暗を簡潔な構図に表し、卓越した素描力を示しつつ、油彩とは一線を画す独自の芸術的魅力を放っています。

ジャン=フランソワ・ミレー Jean-François MILLET (1814-1875)


フランスのノルマンディに生まれる。農民としての生活体験を基盤に、農村の人々の日常と労働を荘厳に描いた。代表作《落穂拾い》《晩鐘》《種をまく人》では、大地と共に生きる農民の姿を力強い構図と重厚な筆致で表現し、人間の尊厳と生命力を讃えている。その作品は、後の印象派や写実主義にも大きな影響を与えた。自然と人間の営みを敬虔なまなざしで捉えたミレーは、農民画家としてではなく、人間存在の普遍的価値を描いた芸術家である。バルビゾン派のプレイヤード(七星)の一人に数えられ、同派を代表する存在である。

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