カタロニアの詩
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242,000円(税22,000円)
アントニ・タピエスの《カタロニアの詩 Pl.1》リトグラフ。1973年制作、直筆サイン入り、限定75部。物質感溢れる表現が魅力的。
アントニ・タピエス
《カタロニアの詩 (Poems from the Catalan)》
技法 : リトグラフ6点
制作年 : 1973年
サイズ(ポートフォリオ全体) : 約 76.5×101.5cm
限定部数 : 75部(各作品に直筆サイン・エディションナンバー入り)
出版社 : Ediciones La Polígrafa(バルセロナ)
詩・テキスト著者 : ジョアン・ブロッサ(Joan Brossa)※カタルーニャを代表する前衛詩人
作品集の概要
《Poems from the Catalan》は、アントニ・タピエスが1973年に制作した詩画集で、カタルーニャの詩とタピエスの造形世界が融合した特別な版画ポートフォリオです。
詩人ジョアン・ブロッサによるカタルーニャ語の詩と、タピエスによる多色リトグラフ6点で構成され、文学と美術が一体となった高度に完成されたブックワークとして知られています。
カタルーニャ文化への精神的オマージュ
タピエスにとってカタルーニャは単なる出身地ではなく、言語、歴史、抵抗、精神性を象徴する存在でした。
フランコ政権下で抑圧されてきたカタルーニャ語と文化に対し、タピエスは芸術を通して強いアイデンティティの表明を続けてきました。
本作は、そうした背景のもとで生まれたもので、詩の言葉を視覚的な痕跡として定着させることで、言語のもつ根源的な力を浮かび上がらせています。
詩と物質が交差する造形世界
この版画集では、詩のテキストとともに、タピエス特有の記号、線、傷のような刻印、壁を思わせるマチエールが画面に展開されます。
文字は単なる「読むための言葉」ではなく、削られ、擦られ、刻まれた物質として存在し、詩の意味を説明するのではなく、詩の精神そのものを視覚化する役割を担っています。
タピエスの画面に頻出する十字架、記号的な文字、数字、壁や扉を思わせる構造、ひび割れや傷のような線といった要素が、詩の言葉と重なり合い、読む行為と見る行為が同時に進行する独特の鑑賞体験を生み出しています。
技法と版画表現の魅力
本作は多色リトグラフによって制作され、石版画ならではの柔らかな色の重なりと、タピエス特有の荒々しい線や記号表現が融合しています。
版画でありながら、絵画や壁画を思わせる重層的な質感を持ち、画面には時間の堆積や人の手の痕跡が刻まれているかのような存在感があります。
紙の上に刷られたインクは、単なる平面表現にとどまらず、触覚的な実在感を伴い、タピエスの絵画作品と同等の「物質性」を備えています。
1970年代タピエスの代表的仕事
1970年代は、タピエスが国際的評価を確立し、精神性と政治性、物質性を高度に統合していった円熟期にあたります。
《カタロニアの詩 (Poems from the Catalan)》はその時代を象徴する仕事であり、思想・文学・造形が高い次元で結晶したシリーズです。
抽象と具象の境界を越え、言語とイメージの境界をも越境する本作は、タピエス芸術の核心を理解するうえで欠かせない重要な版画集といえるでしょう。
コレクションとしての価値
限定75部の少部数制作で、すべてに作家直筆サインとナンバーが入る本作は、タピエスの版画作品の中でもとりわけ評価の高いシリーズです。
一葉一葉が独立した作品として成立しながら、連作として並べることで、詩のリズムとタピエスの造形世界が呼応し、より深い精神的空間を生み出します。
文学と美術が高度に融合したブックワークとして、タピエスの思想と造形の両面を味わえる、極めて完成度の高い名作版画集です。