ピエール=オーギュスト・ルノワール 《横たわる裸婦》 ドライポイント 1906年 13.9×19.8cm

220,000円(税20,000円)

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DETAIL

ピエール=オーギュスト・ルノワール
《横たわる裸婦》


エッチング
1906年
13.9×19.8cm


額・黄袋・箱付き

本作品《横たわる裸婦》は、印象派を代表する画家ピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir, 1841-1919)が1906年に制作したエッチング作品で、ルノワールが生涯を通じて追求した女性美へのまなざしを繊細な線描で表現しています。油彩作品とは異なる、版画ならではの親密で静かな魅力を備えた一枚です。

優美なポーズと簡潔な線描


画面には、横たわる女性がリラックスした姿勢で描かれています。右腕を軽く曲げ、頬に添える仕草は自然で柔らかく、モデルの穏やかな息づかいまで感じられるようです。輪郭線は極めてシンプルで、陰影や質感を細かく描き込むことなく、最小限の線で女性の身体のしなやかさを際立たせています。この簡潔さがかえって優雅さと親密さを強調しています。

エッチングによる柔らかな表現


ルノワールは油彩では豊かな色彩と筆触を駆使して人物像を描きましたが、この作品ではエッチングの特性を活かし、線のみで形態を表現しています。版面に刻まれた繊細な線は、油彩の華やかさとは対照的に、落ち着いた静謐さを漂わせます。装飾性を排した構成と単純化されたフォルムからは、ルノワールが目指した「女性の美の本質」を追求する姿勢が感じられます。

ルノワール晩年への流れ


1900年代のルノワールは、印象派時代の筆触主義から徐々に離れ、形態を重視した柔らかな古典主義的スタイルへと移行していました。本作でもその傾向が顕著で、流麗な曲線と落ち着いた構成は、後年の大作《浴女》シリーズに通じる美意識を示しています。小品ながら、ルノワール芸術の転換期を象徴する一枚といえるでしょう。

ルノワールと版画作品


ルノワールは49歳のときにサロンへ最後の出品をし、その後版画作品の制作を行うようになりました。刷りは、ルオーの刷り師もつとめたオーギュスト・クロが手がけました。ルノワールは、エッチング やドライポイントなどの技法では、できるだけ単純なスケッチ風の作品を制作し、自由な線を表現しました。1850年代以降は、ポスター画家で刷り師のジュール・シェレなどの活躍によりリトグラフの技術が発達していきました。ルノワールも、当時版画作品の制作に心血を注いでいた画商ヴォラールのすすめにより、リトグラフ作品を制作するようになります。ルノワールは、チョークでデッサンしたときのように美しい赤や黒などの色彩を表現できるリトグラフという手法に興味を示し、没頭するようになりました。しかしながら、ルノワールが生涯で制作した版画はエッチングとドライポイントを合わせて25点、リトグラフが30点と合計で55点ほどしかなく、大変貴重なものとなっています。

ピエール=オーギュスト・ルノワール Pierre-Auguste RENOIR (1841-1919)


1841年フランス・リモージュ生まれ。幼少期から絵を描き始め、磁器工場で見習工として働いた後、シスレー、モネ、バジールらと出会い、印象派の中心的存在となる。1864年パリ・サロンで初入選し、1867年の『日傘のリーズ』で注目を集めた。1879年『シャルパンティエ夫人とその子どもたち』が高く評価され、人気画家として地位を確立する。1892年頃から関節リウマチを患い、1907年に温暖なカーニュ=シュル=メールへ移住。病と闘いながら晩年まで制作を続け、1919年没。女性美を賛美する作品で知られ、印象派を代表する画家の一人として高く評価されている。

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