マルク・シャガール 《ケンタウロスと母と子》 リトグラフ 1957年 《ジャック・ラセーニュによる「シャガール」》より

132,000円(税12,000円)

マルク・シャガール
《ケンタウロスと母と子》


リトグラフ
1957年
23×19.8cm
《ジャック・ラセーニュによる「シャガール」》より
限定6000部



作品の背景 ― 評論書挿画としての位置づけ


本作《ケンタウロスと母と子》は、美術史家ジャック・ラセーニュによるシャガール論のために制作された挿画の一点です。
1950年代のシャガールが得意とした、神話的モチーフと私的な感情世界を融合させた表現が端的に示されています。

主題 ― 神話と日常の交差


画面中央に描かれるケンタウロスは、ギリシャ神話に由来する半人半馬の存在ですが、ここでは荒々しい怪物としてではなく、どこか人間的で詩的な存在として表されています。
その傍らには母と子の姿が配され、神話的存在と人間的な家族像が同一の空間に共存しています。

この組み合わせは、シャガールが一貫して追求した「現実と夢、神話と日常の境界を溶かす」世界観を象徴しています。

色彩 ― 情感を導く赤と青


画面を大きく覆う赤は、情熱や生命力、愛情の高まりを象徴する色として用いられています。
一方、ケンタウロスに用いられた青は、静けさや精神性、内面的な思索を感じさせ、赤との対比によって画面に緊張感と詩情を与えています。

この大胆でありながら調和の取れた配色は、1950年代シャガールの成熟した色彩感覚をよく示しています。

表現 ― 線が導く物語性


人物や動物は、明確な輪郭線によって簡潔に描かれていますが、決して説明的ではなく、見る者に想像の余地を残しています。
線は形を定めると同時に、感情や動きを導く役割を果たし、画面全体に流れるようなリズムを生み出しています。

リトグラフ特有の擦れや色の重なりが、夢の中の情景のような曖昧さを加えています。

シャガール芸術との関係 ― 愛と神話の象徴


ケンタウロス、母と子というモチーフは、それぞれが独立した象徴でありながら、シャガールの中では「愛」「生命」「守護」といった普遍的なテーマによって結び付けられています。
ここに描かれる世界は、物語を語るというよりも、感情そのものを視覚化した詩のような存在です。

コレクションとしての魅力


限定6000部と比較的多く刷られた作品でありながら、
1950年代のシャガールの代表的な主題と色彩感覚を備えた一作として、評価の高い位置づけにあります。
評論書挿画という明確な出自を持ち、シャガールの思想や世界観を理解するうえでも重要な作品です。

マルク・シャガール Marc CHAGALL (1887-1985)


帝政ロシア(現ベラルーシ)のヴィテブスクに生まれる。1907年ペテルブルク(現サンクト・ペテルブルク)の王立美術学校で学び、そこでの経験が彼の芸術に深い影響を与えた。1911年、シャガールは「蜂の巣」と呼ばれるアトリエに移り、そこでロベール・ドロネー、フェルナン・レジェ、モディリアーニなどの画家たちと交流した。この時期に彼の独自の絵画スタイルが花開き、色鮮やかで幻想的な要素が取り入れられた。1963年、パリ・オペラ座の天井画を制作。1977年にはレジオン・ド・ヌール最高勲章を授与された。1985年ヴァンスで死去。シャガールの作品は、空中を浮遊する恋人たちや故郷の素朴な風景など、独自の幻想的な要素が取り入れられ、国際的に高い評価を受けた。彼の油彩画、版画、挿絵などは、美術ファンを魅了し続け、その芸術は時代を超えて多くの人々に感動を与え続けている。

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