DETAIL
ベルナール・ビュッフェ
《アルバム・サンフランシスコ No.7》
リトグラフ
1966年
47.3×68cm
直筆サイン
《アルバム・サンフランシスコ》より
限定150部
額・黄袋・箱付き
本作品《アルバム・サンフランシスコ No.7》は、ベルナール・ビュッフェが1966年に制作したリトグラフ作品で、全15点からなる版画集《アルバム・サンフランシスコ》の一枚です。サンフランシスコの街並みを描いたこのシリーズは、ビュッフェの鋭い線描と構築的な画面構成が際立ち、彼の都市風景画の代表例といえる作品群です。
サンフランシスコという都市の象徴
本作は、急勾配の坂道に路面電車(ケーブルカー)が走る、サンフランシスコらしい都市景観を描いています。左右に立ち並ぶ建物と路面電車の軌道が強調され、奥行きのある遠近法で視線を画面の中央奥へと導きます。
ビュッフェは、都市の喧騒や人々の活気を描くのではなく、むしろ静けさと緊張感を漂わせる独自の解釈で街の本質を表現しています。
ビュッフェ特有の線描と色彩
ビュッフェの最大の特徴である、鋭利な黒い線による力強い輪郭描写は、本作でも際立っています。建物、道路、木々、そしてケーブルカーまでもが、この硬質で規則的な線によって形作られ、都市の構造そのものが視覚的に強調されています。
一方、色彩は比較的抑制され、オーカー、セピア、レンガ色、暗緑などの落ち着いたトーンで統一。鮮烈な色彩よりも、陰影と構造美によって画面の緊張感を生み出しています。
《アルバム・サンフランシスコ》における位置づけ
1966年に制作された《アルバム サンフランシスコ》は、ビュッフェがアメリカ滞在時の印象をもとに描いた15点のリトグラフからなるシリーズで、街の風景を独自の視点から捉えています。ケーブルカー、坂道、橋、港湾、街路樹など、サンフランシスコを象徴するモチーフが次々と登場し、都市の輪郭を鋭く描き出すと同時に、ビュッフェ特有の孤高でストイックな世界観が表現されています。
ベルナール・ビュッフェ Bernard BUFFET (1928-1999)
パリに生まれる。エコール・デ・ボザール(国立芸術大学)に学び、ナルボンヌに師事。1947年頃からアンデパンダン展、サロン・ドートンヌ、サロン・ド・メなどに出品して注目を集める。1948年若干20歳にしてクリティック賞を受賞し、新しい具象画の旗手として名実ともにスターとなる。作風は力強い描線と鋭いフォルム、遠近法を強調したコンポジションに乾いた詩情、沈黙と虚無感が漂う。白と黒の冷たい色調から現代の孤独を描く「悲惨派」の旗手とされた。1999年10月5日死去。色調やテーマは様々に変化したが、常に独特の画風を展開し続けた作品はパリ国立美術館をはじめ、世界各地の美術館に収蔵されている。親日派としても知られ、各地の神社仏閣を回って親交を深め、相撲観戦も楽しむなど、日本文化を積極的に取り入れた。